2017年2月16日木曜日

【地域起こし協力隊】地域起こし協力隊の給料は、ぜんぜん低くないという真実。

天候 晴れ
今歌 「もしも僕に」関取花

やっほー!!!!久しぶりのBlogです。


東京都世田谷区から鳥取県大山町にやってきてそろそろ二年が経とうとしています。
そんな中、去年の今頃はどうしていたかなーと振り返ってみると、
絶賛、地域起こし協力隊を辞めるか否かの真っただ中でした笑


最近のニュースでは、地域起こし協力隊が、4,000人を超えたという報道も。
(関連記事『地域おこし協力隊 4000人超える 定住希望者に支援強化へ』引用元:NHK NEWS WEB)


人数が増えていくに連れて、今後ミスマッチが起こりうる可能性が非常に高いと感じます。そこで、地域起こし協力隊OBとして、自分の経験を抽象化して、どんな心持ちで取り組むべきかだけシェアしておきます。そこが一番大事な部分だと思うので。


この記事は、地域起こし協力隊を目指す人、任期継続に悩んでいる人に向けて書きます。
少しでも参考になる人がいれば、それだけでオッケー!
(※最初に言いますが、学生で就職先の一つとして、地域起こし協力隊を選ぶのは超絶オススメしません。)

地域起こし協力隊の定義おさらい


ということで、今日は『地域起こし協力隊』のはなし。


ちなみに地域起こし協力隊の捉え方は、自治体や人によって様々ですが、それだと話しの捉え方が人によって異なってしまいます。
そのためこの記事では、総務省の定義に従って話しを進めます。


地域おこし協力隊とは
○制度概要:都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住⺠票を移動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が「地域おこし 協力隊員」として委嘱。隊員は、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、 農林水産業への従事、住⺠の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組。
▷目的(前提)『定住・定着』 
▷手段『地域ブランドや地場産品の開発/販売/PR・ 農林水産業への従事・住⺠の生活支援



地域起こし協力隊の給料はぜんぜん低くない。



一般的に、地域起こし協力隊の給与は低いと言われています。
こういった認識は、民間企業と地域起こし協力隊を比べた結果起こるものです。


でも実は、民間企業で働く会社員と、地域起こし協力隊では『給料の前提』が異なります。簡単にイラストにまとめたのが、下の図。




会社員の場合

会社員にとって、最大の目的は『会社に貢献』することです。
『会社に貢献』する手段として『労働』をします。
そしてその対価として『給料』が支払われます。

ポイント▷会社員の目的は、『会社に貢献』という『他者目的』。


地域起こし協力隊の場合

地域起こし協力隊にとって、最大の目的は『定住・定着』することです。
定住・定着』する手段として『労働(地域ブランドや地場産品の開発/販売/PR・ 農林水産業への従事・住⺠の生活支援』etc..)』があります。
そしてその対価として『給料』が支払われます。

ポイント▷地域起こし協力隊の目的は、『定住・定着』という『自己目的』。


こうして見比べると、根本的な違いは一つ。
『他者目的』であるか、『自己目的』であるかという点です。


会社員で或る限り、会社(他者)に貢献することで給料が支払われます。
一方、地域起こし協力隊の場合、自分(自己)の未来(定住・定着)を作っていくことで給料が支払われるのです。


これはめちゃくちゃ大きな違いです。
『他者目的』であるか、『自己目的』であるかは、付き合う人達との関係性にも影響を及ぼします。


例えば、会社でクライアントと築いた関係性は、会社同士の関係性になります。しかし、地域起こし協力隊で地元の方と築いた関係性は、そのまま自分との関係性になるのです。


未来の自分に還ってくることをしているにも関わらず、お給料がもらえる。
地域起こし協力隊隊の予算は、一人につき年間報酬200万円/活動費200万円です。
報酬200万円をもらいながら、未来の自分に還ってくる活動に200万円が使えます。


これは起業準備しているにも関わらず、お給料がもらえる状態を想像してもらえれば、ありえない待遇だと気付くはずです。


そう考えると、域起こし協力隊の給料はぜんぜん低くありません。

意識には『前提』の意味を変える力がある。


『他者目的』『自己目的』の前提に疑問を投げかける言葉もあると思います。
「会社員でも自分のために働いている人はいる。」
「地域起こし協力隊でも、行政から求められたことで働いてるひともいる。」


そういった人は、自分の意識により『前提』が変化した例といえます。
実は、前提が変わるも変わらぬも、その人の“意識”次第です。
簡単にイラストにまとめたのが、下の図。




会社員でも、自発的に未来を描きながらする仕事は、『自己目的』になりえます。
そんな働き方をしている人は、めちゃくちゃイキイキしていると思います。
周りに思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか?


逆に、地域起こし協力隊では、前提が『自己目的』なので「これをやりたい」という自発的な意識が求められます。もし『受身的意識』を持って地域起こし協力隊になってしまった場合は、行政に求められた『他者目的』だけをこなすお手伝い要員になってしまいます。


地域起こし協力隊の制度が『自己目的』を促す制度だとするのであれば、「この場所で◯◯をやりたい!」と思える自発性が何よりも重要。
あくまでそのための手段が『地域ブランドや地場産品の開発/販売/PR・ 農林水産業への従事・住⺠の生活支援 etc..)』といったものなのです。


全ては自分の意識で変わる。
意識には『前提』の意味を変える力があるんです。


地域起こし協力隊が公私混同になるのは、ぜんぜん不思議なことじゃない。



地域起こし協力隊で良く聞くワードNo.1「プライベートが全然ない。」


確かに僕自身もそうだったのですが、地域起こし協力隊で活動していると、プライベートと仕事の境目がなくなっていきます。


でもその理由は簡単で、地域起こし協力隊の目的である『(定住・定着)』のベースは生活(プライベート)だからです。


定住・定着』達成する手段としての、『仕事(地域ブランドや地場産品の開発/販売/PR・ 農林水産業への従事・住⺠の生活支援』etc..)』であるため、仕事とプライベートが混在したカタチになってしまうのは自然の流れです。


『自己目的』を持ち、地域起こし協力隊として活動されている方は、『仕事』を『やりたいこと』と捉えるため、充実感を持って活動されている方が多いです。


地域起こし協力隊の前提を理解した上で、勤務地を選ぼう。



地域起こし協力隊の前提を理解した上で、勤務地を探せば、自然と地域が絞られてくると思います。


地域起こし協力隊の制度にも関わらず、行政側が『他者目的』の業務内容を載せまくっているところ。逆に業務内容が、あいまいすぎるところ。


そんな求人は要注意。


気になる場所があった場合は、その地域の地域起こし協力隊の方に絶対会いに行ってください。現地の様子、実際に生で聞く活動内容や雰囲気などの一次情報が何よりも重要です。


その体感からくる一次情報こそが、自分の『自己目的』に繋がるからです。



大学生に地域起こし協力隊をオススメしない理由



冒頭で、学生で地域起こし協力隊になることはオススメしないと言いましたが…
その理由は明白で、地域起こし協力隊には、行政にできないことが求められるからです。
(下記、総務省の地域起こし協力隊導入効果の資料をご覧ください。)




資料を見ると…
自分の才能・能力を活かした、行政にはできなかった柔軟な地域起こし策が求められることが分かります。


行政職員で出来ることであれば、まず地域起こし協力隊が存在する理由がなくなりますからね。


つまり教えてもらうのではなく、自分から生み出さなければいけません。
自ら生み出すには、民間的発想が必要です。


しかし学生を卒業したばかりの人にとっては、出来ることにも限界があります。
僕自身も、二年間の社会人経験がありましたが、それでもスキルのなさを痛感する機会が非常に多かったです。


ちなみに民間的発想を請おうとしても、行政には、民間的発想で指導できる体勢も整っていません。
行政の仕事は、予算を取って分配して様々なインフラを整えることです。
生み出すことが仕事ではないのです。その部分を地域起こし協力隊に求めているのです。




だからこそ地域起こし協力隊になる前には、何かしらのスキルを学んでおく必要性があります。
その方法は、会社に就職、フリーランスで活動など含めどんな方法でも良いと思います。


学生で地域起こし協力隊になって苦労している人を見てきたからこそ思います。


上記の理由から、学生から地域起こし協力隊に就職することは超絶オススメしません。


しかし、もちろん例外もあります。
例えば…島根県津和野町。企業(FoundingBase)と行政が一体になり地域振興をしている為、学生でも民間的発想を学べる体勢が整っています。
(関連記事『【FoundingBase】ワクワクする社会を、いま、ここから。』引用:地元びいき)

あとがき


つらつら書いてきましたが、結局重要なのは「これがやりたい!!」という想いをもてるかどうか。
そんなに明確じゃなくてもいいんです。


恥ずかしながら、僕自身も、「一目惚れした大山町(大山周辺)の魅力を、もっといろんな人に知ってほしい!!」というかなり漠然とした想いのみで突っ走っていました笑
(関連記事『移住 〜東京都世田谷区から鳥取県大山町へ〜』)


でもこの想いがあれば、少なからず活動の方向性は絞れるわけです。
「一目惚れした大山町(大山周辺)の魅力を、もっといろんな人に知ってほしい!!」
そのための手段が『観光』であり、『観光』で何が出来るかを模索するのが協力隊の期間なわけです。


想いがあれば、あゆみは遅くとも必ずいっぽいっぽ進んでいけるはずです。
想いがあるからこそ、協力してくれる地域の方々があらわれます。
地域起こし協力隊は、そういった想いがある人をサポートできる制度であるべきです。


地域のためではなく、まずは自分の想いからはじまる。
自分がやりたくてやってることが、地域のためになる。
それが本当の地域起こし。


地域起こし協力隊は、あくまで『肩書き』ではなく『制度』。
『地域起こし協力隊の人』ではなく、『自分の名前』で関係性を。
自分という人間をドンドン出していくことが大事。


「その地域でしかできないことを、自分のやり方でカタチにしたい。」
そう思える場所に巡り会えることを願ってます。


地域起こし協力隊に関することで参考になる記事一覧


地域起こし協力隊に関する記事

①活動内容・タイムスケジュール・おかねのことまで事細かく書いてます。協力隊後のイメージをするのには、とても良い記事。
▷(『“地域おこし協力隊” 徹底解剖』引用:Blow You Away!!)

②こちらは2014年の記事。当時よりも、制度自体だいぶ整ってきていると感じますが、一見の価値あり。
▷(『地域起こし協力隊失敗の本質』引用:一般社団法人村落facebookページ)


地域起こし協力隊 任期継続に関する記事

①2016年2月の記事。まさに去年の今頃、協力隊を続けられるか続けられないかで揺れていた時期。当時の考えを、もの凄く丁寧にインタビュー記事にして頂きました。任期で悩んでいる方には何かしらの参考になるかも?!
▷『観光のゴールは移住。東京も楽しいけど大山町はもっと楽しい。佐々木正志さんの熱量がすごい!』引用:ノマド的節約術








2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

氷見市地域おこし協力隊稲垣と申します。
会社員が、会社に貢献であるならば、
地域おこし協力隊は、地域に貢献ではないでしょうか?

自己目的ということは、上から目線のような気がします。

また、協力隊に支払われる報酬は、全て国民の税金からなりたっています。
税金を自分のためだけに使うという意識は、おかしいのではないのでしょうか?
あと、あなたの記載がすべて協力隊目線で、上から目線のような書き方です。
本来は、地域の人たちが、私たちよそ者・協力隊を選ぶのであって、地域の人々から受け入れられなければ、定着定住にもならず、3年の任期後は、どこかに去っていくように感じます。

出来れば、協力隊目線から、一歩引いて、地域の人々がどう協力隊を見ているのか、
地域に溶け込むことの大切さを記述して欲しいです。
あなた自身が協力隊を辞める辞めないの確信は、地域に受け入れられないか受入られているのかによるものでは、ないのでしょうか。地域の人たちが、本当に求めているのは、もっと違う場所にありますが、そこにたどり着くには、10000時間ほど地域の人々と関らないと見えてこないです。これは、協力隊に限ったことではありませんが・・・

10000時間を、10年で行うか、3年で行えるかも、あなた次第だと思います。

まーしー さんのコメント...

稲垣信志 さん
わざわざお時間割いて、読んでいただきありがとうございます!また、貴重なご意見までありがとうございます。
しっかりこちらの意図がお伝えできなかった力不足を感じております。
この記事は、できるだけ要素をそぎ落として、地域起こし協力隊になる側の心持ちに絞って書いております。それは記事冒頭でも明言しております。(本文中明言部分『地域起こし協力隊OBとして、自分の経験を抽象化して、どんな心持ちで取り組むべきかだけシェアしておきます。そこが一番大事な部分だと思うので。』)
個人の考え方は自由だと思いますし、稲垣信志さんの考え方も正しいと思います。
今回の記事は、あくまで僕個人の見解(考え方)だと思って、ご覧頂ければ幸いです。
コメントについて、お答えさせて頂きます。

①会社員が、会社に貢献であるならば、地域おこし協力隊は、地域に貢献ではないでしょうか?
▷地域起こし協力隊の目的は、行政や人によって捉え方は様々だと感じます。僕の周りだけでも、人それぞれ地域起こし協力隊の解釈は違います。そういった解釈の違いはなぜ起こるのかというと、地域起こし協力隊の制度の前提を、同じ意味として捉えていないからだと思います。全ての人が同じ捉え方をする必要はもちろんないですが、記事にするかぎりは、言葉の定義付けをしない限り、その後の言葉の意味がずれてしまいます。もちろん前提が共有されていないと、議論も噛み合わなくなってしまいます。
ですので、今回記事にするにあたり、総務省が定めている本来の地域起こし協力隊の定義に従って、記事を執筆した次第です。

②協力隊に支払われる報酬は、全て国民の税金からなりたっています。税金を自分のためだけに使うという意識は、おかしいのではないのでしょうか?
▷税金を自分のためだけに使うという意識は全くありません。
記事でも記載していますが、目的が『定住定着』であり、手段が『地域ブランドや地場産品の開発/販売/PR・ 農林水産業への従事・住⺠の生活支援』です。遊びで税金を使っているわけではありません。手段である地域起こし協力隊の仕事が、地域に為の仕事にあたるのと考えています。

③あなたの記載がすべて協力隊目線で、上から目線のような書き方です。本来は、地域の人たちが、私たちよそ者・協力隊を選ぶのであって、地域の人々から受け入れられなければ、定着定住にもならず、3年の任期後は、どこかに去っていくように感じます。
▷そのように感じたんであれば、もうしわけありません。全くそんなつもりはありませんでした、地域起こし協力隊OBとして少しでも、地域とのミスマッチが少なくなればと思い執筆した次第です。
稲垣さんが仰るように地域の方々から受けいられることはとても大切なことだと思います。しかし、周りの地域起こし協力隊メンバーをみていても、地域の人達に選ばれるためにする活動を主眼に置き続けても、三年後の定着にはつながりにくいと思います。なぜなら、活動の中心が受けいられる為のものなのであれば、そこに自分の芯はありません。地域起こし協力隊を終えたあとの仕事はどうするのでしょうか?ボランティアでは生活ができません。
何よりも大切なのは、自発的に「この地域で◯◯をやりたい」という思いをもつことです。その芯があるからこそ、地域の方々が信頼を置いてくれるのではないでしょうか。

④あなた自身が協力隊を辞める辞めないの確信は、地域に受け入れられないか受入られているのかによるものでは、ないのでしょうか。
▷辞めた理由は、自分のやりたいことが確信できたからです。それが中心にあるからこそ、地域の方々も受け入れ協力してくれると感じています。ひと言では語りきれないので、お時間があればBlog内『大山町地域起こし協力隊を卒業します。』をご覧頂ければ幸いです。

以上になります。記事の内容と合わせて、補完させて頂きました。
ご意見を頂けるのは非常にありがたいです。僕自身も改めて書くことによって思考を整理できました。
Facebookページに『地域おこし協力隊』というグループがあるので、ぜひそちらにもコメント投稿して頂ければ幸いです。みなさんの議論が広まるキッカケの記事になれれば嬉しいです。

実名まで出して頂いて、コメント頂き感謝です。
氷見市地域おこし協力隊での今後のご活躍を楽しみにしております!
お時間あれば、ぜひ鳥取県大山町にも遊びにきてくださいね。
それでは、失礼致します!